初出:Software Design 2002年11月号 大特集「究めるPlamo Linux クライアント編 3章○自分だけのPlamoを楽しむ〜MyPlamo作成術」
昨今、Linuxのパッケージのほとんどは RedHat の RPM 形式か、Debian の DEB 形式になってしまいましたが、SLS や Slackware などの Linux のディストリビューションが出はじめたころのパッケージ形式は tar と gzip でまとめられ圧縮された TGZ 形式がほとんどで、 TARボールと呼ばれたりしていました。 Plamo Linux は Slackware の流れをくみ、パッケージの形式は TGZ 形式となっています。ここでは、Plamo Web+DB 関係の TGZ パッケージ群と Vine 版 ORCA の RPM パッケージ群を例にバイナリパッケージのインストールの方法を説明します。
最初のインストールでインストールしなかったパッケージや、contrib パッ ケージを後からインストールしたい場合は、installpkg コマンドを使って行 うことができます。 PostgreSQL や Apache, PHP4 などのパッケージはソースアーカイブをダウ ンロードしてインストールをしなくても Plamo Linux contrib-3.0 CD にバイ ナリパッケージとして用意されています。先に PosrgreSQL のインストール手 順として記した内容を自動で行なうようになっています。 ここでは、Plamo Linux バイナリパッケージのインストール例として Web+DB 関連パッケージをインストールしてみます。Plamo Linux 3.0 の Web+DB 関連パッケージは contrib CD にあります。そこで、まず、 contib CD を CDROM ドライブにセットして、マウントします。 % mount /cdrom PostgreSQL RDBMS のパッケージは /cdrom/Database に、 Apache Web サーバ と PHP Webスクリプト言語のパッケージは /cdrom/WWW にあります。 % ls -l /cdrom/Database/ | cut -c60- Perl5/ database-memo.txt db4014.tgz -> .all/db-4.0.14-i386-1.tgz gdbm.tgz -> .all/gdbm-1.8.0-i386.tgz pgbash.tgz -> .all/pgbash-2.4a.2-2.05a-i386-2.tgz pgsql722.tgz -> .all/postgresql-7.2.2-i386-2.tgz pgsqlcon.tgz -> .all/postgresql-7.2.2_contrib-i386-2.tgz pgsqldoc.tgz -> .all/postgresql-7.2.2_doc_jp-2.tgz usogres.tgz -> .all/usogres-0.8.1-i386-1.tgz % ls -l /cdrom/WWW/ | cut -c60- ML/ Module/ Sample/ apacissl.tgz -> .all/apache_mod_ssl-2.8.10-1.3.26-i386-2.tgz cadaver.tgz -> .all/cadaver-0.19.1-i386.tgz curl795.tgz -> .all/curl-7.9.5-i386.tgz diskWWW gd184j.tgz -> .all/gd-1.8.4j-i386.tgz mm121.tgz -> .all/mm-1.2.1-i386-1.tgz php422.tgz -> .all/php-4.2.2-i386-2.tgz php4cont.tgz -> .all/php-4.2.2_contrib-i386-1.tgz wazilla.tgz -> .all/wazilla-1.0-gssapi-i386.tgz webalizr.tgz -> .all/webalizer-2.01-10-i386.tgz インストールは root ユーザになって行ないます。まずは、PostgreSQL をイ ンストールしてみます。 % su # cd /cdrom/Database/ # more database-memo.txt # installpkg pgsql722.tgz インストールが成功裏に終了すると、postgres アカウントが作成されデータ ベースが初期化され、PostgreSQL RDBMS サーバが走っています。確認は pgsqld で見ることができます。 # ~postgres/bin/pgsqld status usage: /opt/pgsql/bin/pgsqld {start|stop|status|restart} /opt/pgsql/bin/pgsqld: postmaster(PostgreSQL server) is ALREADY running(PID = 7448). 次に Apache と PHP をインストールしてみます。その前に、Apache が必要 とする gdbm ライブラリもインストールしておきます。 (最小構成の場合、bsd_db4.tgz も必要です。 http://www.linet.gr.jp/%7Ejuk/plamo/parts/3.0/Bugs-3.0.txt を参照のこと) # installpkg gdbm.tgz # cd /cdrom/WWW/ # installpkg apacissl.tgz Apache の起動は次のコマンドで行なえます。 # /opt/apache/bin/apachectl startssl 続いて PHP4 をインストールしてみます。その前に PHP4 が必要とする gd イ ブラリをインストールしておきます。 # installpkg gd184j.tgz # installpkg php422.tgz Webサーバの状態は次のコマンドで見ることができます。 # /opt/apache/bin/apachectl status ここでインストールしたWebサーバにアクセスすると(図 )の ようになっています。(注意: Namazu による検索は php4con.tgz をインストー ルする必要があります。) なお、細かい設定などについては本誌【サーバ編】をごらん下さい。
= Vine Linux版 ORCA パッケージ = Plamo Linux 3.0 には rpm2tgz というプログラムが含まれていて、RPMパッ ケージファイルをSlackware 形式の tgz (tar で gzip したもの) に変換する ことができます。そして、変換された tgz ファイルをinstallpkg コマンドで インストールをすることができます。たまたま、Vine 2.5版用の ORCA (日本 医師会の標準レセプトソフト) なるものを見付けたので試してみようと思いイ ンストールしてみました。インストールは Plamo-3.0 ベータ版で行ない、足 りないライブラリは Vine 2.5 から持ってくるという方法でORCA クライアン トの起動確認まではできました。ただし、ORCAのデータベースをインストール するためにはインターネットに繋いでなくてはできません。 Vine版ORCA は、Team Gedou Network(http://www.teamgedoh.net/)の tech.lab でポーティングされています。(現在は、http://orca.teamgedoh.net/になってます。) RPM は、 http://tgedoh.hp.infoseek.co.jp/ の "RPMS" すなわち http://isweb42.infoseek.co.jp/computer/tgedoh/aptdata/orca/RPMS.i386/ にて、 (現在は、 http://tgedoh.hp.infoseek.co.jp/apt/2.5/i386/RPMS.jma-receipt/ に見つかり、以下のパッケージがありました。(現在は更新されています) * canada_med-0.0.20020403-0vl2.i386.rpm * dia-orca-0.84-1vl1.i386.rpm * dia-orca-print-0.1-3vl4.i386.rpm * gmp4-4.0.1-0vl1.i386.rpm * gmp4-devel-4.0.1-0vl1.i386.rpm * gtk+panda-0.9.5-0+0.orca.1vl1.i386.rpm * gtk+panda-devel-0.9.5-0+0.orca.1vl1.i386.rpm * jmari-fonts-0.0.20020117-1vl4.i386.rpm * libfixed-20011029-1vl2.i386.rpm * libfixed-devel-20011029-1vl2.i386.rpm * open-cobol-0.8.9-3vl1.i386.rpm * open-cobol-libs-0.8.9-3vl1.i386.rpm * orca-0.9.27-1vl2.i386.rpm * orca-client-0.9.27-1vl2.i386.rpm * orca-local-osaka-0.9.25-0vl1.i386.rpm * panda-client-1.0.7-0+0.orca.1vl1.i386.rpm * panda-server-1.0.7-0+0.orca.1vl1.i386.rpm まず、これをダウンロードしますが、一括ダウンロードは wget にミラーと親 無しオプションできます。 % wget -m -np http://isweb42.infoseek.co.jp/computer/tgedoh/aptdata/orca/RPMS.i386/ root になって orca のアカウントを作っておきます。 % su # adduser orca ログインシェルの初期化ファイルに /opt/pgsql/bin へのコマンドパスを追 加し、psql コマンドを使えるようにしておきます。例えば以下の設定を .cshrc 等へ加えます。 -- setenv PG_DIR /opt/pgsql setenv PGDATA ${PG_DIR}/data setenv PGLIB ${PG_DIR}/lib setenv PGPORT 5432 setenv LD_LIBRARY_PATH $PG_DIR/lib:${LD_LIBRARY_PATH} set path=( ${PG_DIR}/bin $path ) -- ダウンロードした ORCA の RPM のあるディレクトリへ移動して、rpm2tgz を使って .rpm パッケージから .tgz パッケージへ変換し、 installpkg でイ ンストールします。 # cd isweb42.infoseek.co.jp/computer/tgedoh/aptdata/orca/RPMS.i386/ # for i in (*.rpm); do rpm2tgz $i; done # for i in (*.tgz); do installpkg $i; done (注:ORCAのバージョンによっては rpm2tgz で失敗することがあります。) PostgreSQL のサーバ postmaster が走ってなければ起動し、orca データベー スの初期化をします。(その前に、db1 が必要なのでシンボリックリンクを張 り直しておきます。) # /opt/pgsql/bin/pgsqld start # ln -sf /lib/libdb1.so.2 /usr/lib/libdb.so.2 # chown -R orca /usr/share/orca /etc/orca # cd /usr/share/orca/init/ # sh orca-db-create.sh # sh orca-db-install.sh # libdb1.so.2 が要る # su - orca -c 'cd /usr/share/orca/init; sh orca-hospid-set.sh' orca にスイッチユーザして、ORCAサーバを起動します。起動の仕方は、 /etc/init.d/{glauth,glserver,monitor.sh} がインストールされているので それらを参考にします。 # su orca % /usr/libexec/panda/glauth -- -password /etc/orca/.orcapwd & % /usr/libexec/panda/glserver -- \ -screen /usr/share/orca/screen -record /usr/share/orca/record > /dev/null & % /usr/libexec/panda/monitor.sh % exit これで、サーバは無事走りました。そこで、今度はクライアントですが、 ORCA の GNOME を使ったクライアントを走らせるために足りない共有ライブラ リを Plamo の contrib CD からインストールし、足りないパッケージは、 Vine 2.5 からコピーしてきたもので補いました。補ったライブラリは以下の ものでした。 libart_lgpl libdglade-gnome libghttp libglade libgnome libgnomesupport libgnomeui libgtkxmhtml libxml 共有ライブラリの追加後は ldconfig を実行し、カーネルに再認識させます。 # ldconfig 最後に、フォントの設定をして終了です。Type1 ディレクトリでは mkfontdir はしないで、以下のように修正しました。 # echo "orcaocrb.pfb -jmari-ocrb-regular-r-normal--0-0-0-0-m-0-iso8859-1" \ >> /usr/X11R6/lib/X11/fonts/Type1/fonts.dir /usr/X11R6/lib/X11/fonts/Type1/fonts.dir の 1行目を手で修正して、書か れている数字を +1 します。 TrueType ディレクトリのフォントリストを mkfontdir で作り直します。 # /usr/X11R6/bin/mkfontdir /usr/X11R6/lib/X11/fonts/Type1 # cp /usr/X11R6/lib/X11/fonts/Type1/fonts.dir /usr/X11R6/lib/X11/fonts/Type1/fonts.scale こうして、ORCA のインストールを終えると、一般ユーザで ORCA クライアン トの実行が可能になりました。 % orca-launch デモ用のユーザIDとパスワードはいずれも ormaster です。 最後に ORCA サーバの終了は、以下のコマンドで行えます。 # killall -HUP /usr/libexec/panda/monitor # killall /usr/libexec/panda/glserver # killall /usr/libexec/panda/glauth
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